ーーーキキーっ

車は誰もいない駐車場で停まり、これまで何も話さなかった雪人がようやく口を開いた

「・・さっきの人は、誰ですか?」

「え?」

ようやく発せられた言葉は、陽が予想もしていなかった言葉で、

「・・さっきの人です、柊木さんの恋人の方ですか?」

少し苦しそうに顔を歪めて雪人は言った

(・・さっきの、、高橋くんのことかな、、?)

「・・あの子は、最近入ったわたしの後輩です。」

陽は事実をそのままに伝えた

「・・あなたは、恋人でもない男性に家まで送ってもらうつもりだったんですか?」

今度は少し咎めるなその口調に、

「っ、ちゃんと断るつもりでしたっ、断ろうとしたときに羽衣さんが遮ったからっ、、」

陽は思わずムキになって言い返した

「だいたいっ、どうして羽衣さんにそんなこと言われなくちゃいけないんですかっ、自分のことくらい自分で何とかできます!」

(自分だって、綺麗な女の人とご飯食べてたくせに・・・)

心の中でそう思いながら、さっき見かけた雪人と女性の様子を思い出して、陽は心を痛めた。

「・・本当に、自分のことは自分でお出来になられんですね?」

相変わらずクスリとも笑わない雪人はそう言うと、陽のほうへと身をのりだして、サイドレバーを引いて座席を倒した。

「たとえば、こんな状況になったとしても・・・?」

そう言うと、雪人は陽の上にまたがるようにして覆い被さり、息がかかるほどの近さに顔を近づけた。

(・・えっ、、)

あと数センチで唇が触れそうな距離に雪人がきて、陽は慌てて雪人の胸を両手抑えて離そうとした、しかし、

「・・邪魔な手ですね、そんな力ではわたしを離すことはできませよ」

そういうや否や、雪人は自分を離そうとする陽の手を陽の頭上でまとめあげた

「なっっっ、ちょっと、離してくださいっっ、、」

ようやく今の状況を理解した陽が声を荒げて雪人に抵抗した

「・・さぁ、はやくなんとかしないと僕があなたを食べてしまいますよ


『陽さん』」

耳元で囁かれた、甘く低い声に、陽は背中にゾクリとした感覚を覚えた

(名前っ、初めて呼ばれたっ、、)

こんな危機的状況に、そんなことを考えてしまった自分に驚きながらも、必死に力を入れてもビクともしない雪人の腕に焦りを感じ始めた

その間にも雪人の行動はエスカレートしていき、耳元から首筋にかけてゆっくりと唇をおろしていった

「・・んっ、、」

くすぐったいようなその感触に陽はぎゅっと目を瞑り、声を漏らした

「・・・」

その様子を行為を続けながら確認して、雪人は首筋に軽く吸い付いた

ーーーチュッ

「あっ」

軽いリップをさせて、かすかに感じた首筋への甘い刺激に、陽は自分でも驚くほど甘い声が漏れてしまい頬を真っ赤に染めた

(こ、声が・・っっ)

「随分と可愛らしい声で啼いてくれますね?」

そう言いながら、雪人はゆっくりと陽のブラウスのボタンを1つずつ外しはじめた

ーーパチッ、、、パチッ、、、

「っ!だ、だめっっ、羽衣さんっっ!」

陽は慌ててその行為を止めようとするが、雪人に片手で束ねられている手は動かすことはできない

そして、そうこうしているうちに、全てのボタンを外し終わった雪人がキャミソールをまくしあげて、陽の淡いピンクの下着を外気にさらす。

そして、胸元に唇を寄せると、軽くリップ音をさせながら陽に甘い刺激を与える

「っ、んっ、、はごろもっ、さんっ」

雪人に下着姿を晒しているということと、雪人から与えられる甘い刺激に悩ましげな声をあげながら、陽は雪人の名前を呼んだ

(っ、やばいなっ、)

雪人は陽のその艶かしいすがたと、甘ったるく自分の名前を呼ぶ声に、理性をなくしそうになるのを必死に堪えて、陽の身体の上から退いて運転席に戻ると、自分の着ていたジャケットを陽に優しく被せた。