お店に入ると、そこは少し大人の雰囲気のあるお店で、カップルの客が大半を占めていた

席へと案内してくれるお店のウェイターさんについて歩いていると、見覚えのある後ろ姿が目に入り、陽は息を止めた

「っ、え・・・」

思わずその場に立ち止まってしまった陽を不思議に思った一真が陽に歩み寄り

「どうしたんですか?柊木先輩」

陽の顔を覗き込むようにして、一真が尋ねた

一真に話しかけられて、ハッとした陽は、ごまかすように笑って

「ううんっ、ごめんね!何でもないのっっ」

そう言って、自分たちの席へと歩いて行き、その後ろを一真が追いかけて歩いた。

ーーーー

「・・・柊木さん、、?」

遠目に陽が別の男性と歩いているのに気付いた雪人は、モヤっとした感情を胸に抱いた。

「どうしたの?雪人」

雪人と一緒に食事をしていた女性が雪人に不思議そうに尋ねると、雪人は

「あ、いえ、すみません。何でもないです、食事を続けましょうか。」

そう言って、いつものように優しく微笑んで、止まっていた食事を再開した。