ーーーチュン、チュン

心地よい小鳥のさえずりが聞こえて、ゆっくりと目を開けると、そこはいつもの見慣れた天井ではなく、見覚えないものであった。

「ん、、あれ、、わたし、、」

まだぼーっとする頭を働かせて、昨夜のことを思い出す。

(たしか、、羽衣さんとドライブに出かけて・・・)

そこまで思い出して陽ははっとした

(そうだっっっ!、、わたし、、眠っちゃったんだ・・・)

となると、今のこの状況にまさかと思い、おそるおそる布団の中を覗いて、自分の身なりを確認してみる。

「・・・あ、、よかった、、」

上着は近くにあった椅子にかけられていたものの、それ以外の服はきっちりと昨日のままの状態だった。

一夜の過ちを犯していなかったことに、ほっと胸を撫で下ろすと、隣の部屋から物音が聞こえてきたので、そろりと覗いてみると、そこには眼鏡をかけて新聞を広げている雪人の姿があった。

「あ、、」

思わず漏れた声に、雪人がこちらを振り返ると、

「おはようございます、柊木さん。すみません、昨夜何度か起こそうとしたのですが、熟睡されているようで起きなかったので、僕の家に連れてきてしまいました。」

困ったように笑いながら謝る雪人に

「いえっっっっ!あのっ、ごっ、ごめんなさいっっっ!!わたし、ご迷惑をおかけして・・・」

陽は慌てた様子で頭を下げて謝った。

「ふふっ、いいんですよ。それより、シャワーを浴びてきてはどうですか?今日もお仕事でしょう?」

そう言った雪人に、

「いえっ、でも、これ以上そんなご迷惑・・」

そう言って申し訳なさそうに俯く陽

「迷惑ではないですよ、それに、はやくしないとお仕事に遅れてしまいますよ。

それとも、

僕と一緒に入りますか?」

そう言って、ぐっと距離を縮めてくる雪人から慌てて距離をとって、

「シャワー!!!お借りします!!!」

陽はぎゅっと目を瞑って、雪人に言った。

「ふふ、はい、どうぞ。廊下の手前から2つ目の右の部屋です。」

含み笑いを浮かべた雪人は部屋のあるほうを指差しながら言った。