仕事も終わり、会社の前で一真に別れを告げ、帰路につこうとすると、

「・・・羽衣さん、、」

道の脇に車を停めて、もたれかかるようにして雪人が立っていた。

「こんばんは、柊木さん」

雪人はニッコリ微笑みながら陽に言った。

(・・どうして、また、、)

そんな陽の心の声を見透かすように

「あなたに伝えたいことがあって待っていました。」

「・・伝えたいこと、、?」

「はい、少しドライブにでも行きませんか?帰りは送ってさしあげますので」

雪人はそう言うと、助手席のドアを開けて、どうぞ、という風に手で陽を促した。

「え、いやっ、結構ですっ!歩いて帰れますからっ、それに・・」

「大丈夫ですよ、今日はあなたが考えてるようなことはしません。

ですから、お願いします、柊木さん」

そう真剣な眼差しで言う雪人に、陽はそれ以上何も言うことができなくなって、

「・・わかりました、、約束してくださいね?」

そう言って雪人の車の助手席に乗り込んだ。

「はいっ、ありがとうございますっ」

とても嬉しそうな雪人の顔を見て、ちょっと可愛いな、なんて思ったことは雪人には絶対に言えないと思う陽だった。