《これ以上先は、まだ秘密。》

「こんなこと言って、迷惑だってわかってるんだ....。だけどだけど.....もう辛いんだ。」

沙里はそう言って涙を流し続けた。

沙里は俺と似ていたんだ。
環境、立場、感情が。
俺には完璧な兄がいて
沙里には完璧な姉がいる

周りからの冷たい視線をうけた俺と
母からの何処か冷たい愛情をうけた沙里。

似ていた。
だから、沙里の気持ちがわかるような気がした。


「なぁ、遥斗......。私は生きていていいんだろうか?」


沙里がぼそっと呟いた。

あぁ.....俺も思ったことがある。
自分は必要な人間なのかって。
すごく思ったことがある。