そして、沙里は言った。
沙里には、完璧で比べ続けられた姉がいる、本当に完璧で憧れている。父親が亡くなった時だって、自分は涙をこらえて大泣きした沙里を優しく相手してくれて、とてもいい人だって。
父と仲良かった沙里は、父が亡くなったことがすごく辛くて、学校が終わると泣いていたんだと。
母は父がなくなって、少し変わってしまったらしい、姉への愛情は変わらなかったが、沙里への愛情にはどこか冷たいものを感じていたんだと。
その時初めて、思ったんだって。
姉の存在が憎いと。
どうして完璧な姉といつも不平等な接し方をされないといけないんだって、思ったらしい。
その話をしながら、今まで俺の前で泣かなかった沙里が初めて涙をこぼした。

