それからその鼓動に気づかないフリをして
たくさんのところを沙里と回った。
いつもの沙里のはずなのに
変わらない沙里なのに
今日はどうしても、胸がくるしくなる。
そして花火が始まった。
──ドンドン。
花火の音とともに、沙里の顔に
光が照らされる。
暗闇だからまだいいものの。
その照らされている沙里の顔は
小学生には見えないほど
大人びていた。
「綺麗だな!遥斗!今日これてよかったよ。きっと遥斗と一緒じゃなきゃこうは思わなかったんだろうなー!」
沙里のその言葉はきっと沙里にとっては本音で、なんの意味もないんだろう。そんなことは知っている。

