《これ以上先は、まだ秘密。》



ふぅ。

ため息をついて、彩を見届けると
もうすでに教室に残っているのは私だけだった。

あーそろそろ帰らないと...。


ガラガラガラ──

教室の後ろの扉が空いた。
私がその方向を反射的に向くとそこには誠が立っていた。


「沙里、帰るぞ。」

「んー今日は先帰っててよ。あ!母ちゃんに今日遅れるってついでに伝えておいて!」


「あー、わかった。じゃあ先帰ってる。」

誠はそう言って、教室を後にした。



「と...まあ理由は特にないけど、今日は....。」


独り言でさえ言えなかった、今日は父の亡くなった日だ。