イジワルで優しい彼と再会したら

フッ、と、隆一の口元が緩んだ。

「あー。なんか、俺がものすごく調査されてるって」

(あいつ…!!!!)

「聞きましたけど、俺、なんかしましたかね?」
二人は、学校を出てすぐのところにある小さな川の小さな橋に差し掛かった。

「あ、その、委員会で、先輩の向かい側に座るじゃないですか。私」
先輩に見られていると、心臓が痛い。

「うん」

「動きが、面白いなと思って」

「動き」

「あれって、指揮の動きなんですよね?恭介くんから聞きました」

「そう、指揮ね。練習の時、たまに俺がテンポとるから」

隆一は横に並んで歩いている真琴の方に顔を向けると、可笑しそうに言った。
「そういや、今日、委員会集中してなかったですよね。
 いつもは結構真面目そうに参加してるのに」

「いつもは、真面目にやってるんです…」
(いつもと様子が違うこと、気がついてたんだ...)

「そうだね。それに、時々委員長に食ってかかってる時あるし」
隆一はいよいよ可笑しそうにしていた。

橋を渡り、ちょっとした林に囲まれた公園が左手に見えると、
隆一が立ち止まった。

「休みの日、いつもここで練習してるので。今週は、たぶん土曜日の7時」

「?」

「変な動きはしないけど」

真琴がぽかんとした顔をしていると、隆一はまた可笑しそうな顔をして言った。
「練習始めると調子乗ってやり過ぎちゃうから、時間測ってくれます?」