ごめんね、昔の皆。

かつてリーダーって慕ってた女は、こんな冷めたつまんない人間になっちゃったよ。

けど、私も面倒事に巻き込まれて社会的に負けたくないから、昔には戻れない。

……さて、電車までまだ時間あるし……本屋でも寄るかな。



「榊 阿弓(さかき あゆみ)ちゃん、よね?」



突然声をかけられた。

振り向くと、長い金髪を緩く括った人が立っていた。

身長170cm近い私が見上げなくちゃ視線が合わないくらい高い身長、爪は綺麗だけど骨格がゴツめの手、そして口調は柔らかいけど低い声。

パッと見は女性だけど、よく見ると明らかに男。つまりオネェもしくはオカマだ。

こんな人、全然知らない。

いや、会った事あるなら確実に覚えてるよ、こんな色々と強烈な人。

初対面でなんだけど、なんなんだ
こいつ。

「高校三年生の十七歳、中学時代は空手部、高校では文芸部所属。六人の兄がいて、両親は海外在住。親友の名前は白鳥 蝶羽、須永 亜希乃。身長は約168cm、体重は40kg代を常にキープ。スリーサイズは上から……」

私は無言でかかと落としをしかけた。

瞬間移動のように逃げるオカマ。

「もう!女の子が乱暴しないの!せっかく可愛いのに、勿体無いわよ」