親がそばに居ることが羨ましくて、自分に無いものを自慢してくる奴にイラついて。

だんだん悲しくなってコンプレックスになって、中学時代はちょっと荒れてたっけ。

強くなれば、男の子みたいになれれば、両親も戻ってくるんじゃないかって、無駄な期待して。

結局、全然帰って来なかったけど。

「多分私はいらない子だから……誰かに必要とされたくて……自分で自分を、縛ってたのかも」

居場所が欲しくて、誰かに求められたくて、威張って、仲間を集めて、ヒーローごっこを始めた。

それがきっかけだ。

その時の気持ちが戻って来て、相手は初対面のオカマなのにつらつらと言葉が溢れ出た。

視界がじわりと歪み、顔が熱くなる。

あ……私、泣いてる。

何やってんだろ。

駅前なのに。

人がいるのに。

ただ変な団体に勧誘されてるだけなのに。

涙が止まらない。

子供に戻ったみたいだ。

「そっかぁ……無理しなくて良いわ。貴女が本当にその道を望むなら、もう何も言わないわ。時間取っちゃってごめんなさいね。アタシの事は忘れて」

下を向いたままだから分からないけど、コツコツと足音が遠ざかっていく。