俺の失ったモノは大きい。
今まで通りってワケにいかないこともたくさん出てくるし、何をするにも人より多くの時間がかかる。
俺を選んで後で泣き顔を見るくらいなら、今突き放してしまおう。
そんな俺の前で、
「……それでもわたしは優羽が好きだよ。大好きだよ」
壊れたおもちゃみたいに繰り返しながら泣き続ける光来を、ただ見つめるしか出来なかった。
抱き締めて涙を拭えばきっと泣き止むけど、それじゃあ光来に俺という枷が出来てしまう。
それが嫌でずっと黙り込んだ俺に、
「何をするにも人より多くの時間がかかるなら……たくさん時間がかかってもいいからもう一度わたしを好きになって」
強引に小指を絡めた光来を結局振りほどけなかった。
そりゃ兄貴じゃなくても、
"優羽に付き合わなくったっていいんだぞ？ 光来は光来の幸せ見つけても……”
なんて言いたくなると思う。
