曼珠沙華 -夢の通路-

大君の発言に、姫君はイラッときていたが、あえて何も言わなかった。


「中の君。」

姫君の叔母君が姫君の部屋にやって来た。

「外の花(桜)が綺麗ですよ。貴女も、見ませんか。」

と、姫君を花見に誘った。

珠寿はきゃあ、と嬉しそうに叫んだが、姫君はいいえ、と首を振る。

「我が袖は 涙に濡れる 思ひ出し 色は匂へど 散り逝くものよ」

(思い出してしまうと、ふと、泣いてしまうわ、桜を見ると。あんなに綺麗に咲いていても、散るのだもの。あれを見ると、悲しいこと(家族の死)まで思い出すわ。)