曼珠沙華 -夢の通路-

「嗚呼、成程。」

やっと珠寿も分かったようで、ホッとする。

「おや?」

久光は密かになる音に耳を傾けた。

「虫の声だね。もう、暮れてきたなぁ。」

「そうですね。」

「久光、貴方、もうお帰りになるの?暗いし………………」

「いいえ。残りますとも。あの、お邪魔な大君が帰るまでは、せめて、ね。」

姫君はそれを聞いて、笑っていた。
だが、帰したくなかったので、ホッとしている。