初めて出た、コウジュンの執務室から外の世界。

大きな扉、太い柱、天井は高く、豪華なカーテン、、全ての規格が大きくて圧倒される。

長い石の廊下を渡り、幾つもの扉と広間を抜け、ひと際立派な扉の前に着いた。

護衛の兵たちが何人も立っている。
皆一様に微動だにしない。



コウジュンが足を止めた。

頭一つ分以上高いコウジュンが背を屈めると、端正な顔が近づいてくる。

耳元にかすかに聞こえる声で囁く。

「重要なことをひとつ。


寝床を共にしていないことだが、
口外しないように。」

えっと思うより先にそっと唇に指が触れ、開かないよう蓋をされる。

「周りに知られれば変な噂を立てられかねない。いいね?

ハルが共にしたいというのであればそれは別の話だがーー。

ふっ、、そんなに首を振らなくても。


頬が赤いな。

耳も赤くなってきている。」

「ー ーっ!!」
私はそれ以上は耐えられなくて、彼の胸を押して返した。
「一緒じゃなくていい!」

コウジュンは私の手をとった。
「やっと元気になったな。」

コウジュンの気遣いだったと知る。
「コウジュン、私大丈夫だから。」

「ん、、?」

「ちゃんとわかったから。
言われた通りコウジュンの傍にいるから。」

コウジュンは目を見張った。

青い瞳はふっと微笑みを浮かべた。
「さぁ、行こう。」

押し開かれた扉の向こうには
大きなシャンデリアが輝いて見えた。