コウジュンは首を落とし、ハルに覆い被さった。

「、、帰したくは、、ない。」

耳元ではっきりと聞こえた声に耳が火照る。
身体中の熱が一気に上がる。

コウジュンは3度目のため息をついた。
「ため息なの?」
濡れた瞳がもう微笑みに変わっている。

「なぜ素直に帰らない?」
「どうしていつもみたいに言わないの?
『帰さない、帰るな、私のラドゥールだー!』って。」

いつものハルだった。
「、、生意気な。

いいんだな?
二度目は無いかも知れないんだぞ。」

真剣に問いかけるコウジュンに、
ハルは思い出せるわずかな記憶を辿る。
だがこくんと頷いた。
「思い出せることは少ないの。
だからよくわからない。だけど、コウジュンの傍にいたいの。ちゃんと見届けたい。」

「見届ける?」