「あのさ、」

優也ではない声が聞こえた。

振り返ると、渡利が立っていた。

「わ、渡利」

「あのさ、こいつ俺の彼女だからあんまりちょっかい出さないでくれる?」

渡利は私の肩を抱き、優也にそう言った。

優也はしばらく無言だった。しかし、

「ぷっ」

急に笑い始めた。

「そんなに敵意むき出しにしなくてもいいじゃん」

「は?」

「俺、香織に興味ないし」

「だったら」

「まあ、今は、の話だけど」

渡利の言葉を遮って優也はそう言った。