カフェ『アルジャーノン』の、お兄さん☆



「驚き過ぎ」
くっと笑われて、固まってしまう。それほど岳理の笑顔は衝撃的だった。
「おばけサボテンは、その足元」
「お! これは!」
 ついつい興奮して野性的な声をあげながら屈む。

 大きいのは裕に三十センチを超え、八体もビックアルジャジーノンが並んでいる。並んでる姿は少し怖い。
「馬鹿みたいに大きいくせに、花は小せぇだろ」
「ば、馬鹿じゃないですよ! 大体、このサボテンさん達の方が年上なんですから、もっと敬って下さい!」
 金鯱のサボテンは、花は可愛いらしくないと植物図鑑に載っていたが、ちっちゃい黄色い花がポツポツ咲いる。体に似合わない小さな花は、対照的でみかどは可愛いと思った。
「ちっせぇ時に、此処におじさんに閉じ込められてさ」
 急に思い出したのか、苦々しく舌打ちをしました。
「それ以来、閉所が駄目になっただけだ」
 閉所恐怖症のトラウマがサボテンにあったらしい。


「それは、可哀想ですね」
「お前、顔笑ってるぞ」
 急にほっぺをつねられてしまい、キッと睨みつる。慌てて暴れて離れたせいで、髪がちょっと乱れて整えた。
「昨日と同じポニーテールだけど、三つ編み卒業したワケ」
 土も入ってない花壇に腰掛け、煙草に火をつけながら、偉そうに聞くが、みかど頬を染めた。「最近は、……お兄さんが結んでくれるから」
 今日も、お店はお休みなのに眠たそうな細い目で結んだ。寝癖のついていた髪は、可愛かったとしみじみ思いだす。
「お兄さん、お兄さん、うぜぇ」
「なっ自分が聞いたくせに!」

 ポケットから携帯灰皿を取り出すと、乱暴に煙草の火を消す。
「鳴海にとっては、あのCafeはは『温室』だな」
 フーッと息をかけられ、慌てて首を振って煙を追い払う。
「そんなに温かくもねぇのに、ずっと温室でしか生きられない」

「今日は、やけに突っかかってくるんですね。岳理さんの方がトゲトゲのサボテンみたいですよ!」
 むーっと威嚇して睨むが、待っていても舌打ちはされなかった。
「俺は、みかどを見ると苛々するだけだ」
「別に、言われなれてます……」