カフェ『アルジャーノン』の、お兄さん☆



この人は漫画が好きな漫画コレクターだ。皇汰も千景も苦笑いを隠せない。まだまだ、色々な漫画の説明や自慢や、コレクションの紹介をされたが、千景が鼻ちょうちんを作り出し始めたので、葉瀬川はため息をついた。
「鳴海んは、土日は部屋から出られないから、私がバイトを頼んでいるんだ。日焼けを紙鑢で綺麗にする、ね」
(『部屋から出られない』)
「今日は物音一つしないから、居ないのかもしれませんよ」
 そう言うと、葉瀬川さんは更に無表情になり、漫画を片付け始めた。謎が深まる言葉を――この人も吐く。

「いるよ。土日は『監禁日』だから」

「葉瀬川さん!」

 鼻ちょうちんを割った千景が慌てて、葉瀬川の口を押さえた。が、二人はとっくに聞こえてしまっている。
「き、今日は失礼しますね」

 そう言って、二人を強制的に部屋から出したのだ。
 それから、皇汰は千景の胸の谷間に、みかどはお土産のケーキに有無も言わさぬ速さで誤魔化され丸めこまれ、先ほどの話は有耶無耶になってしまった。
 店長の部屋は電気はおろか、気配さえ感じられない。
 葉瀬川の言葉は、気になる。とても、気になるけど、父親の影が見え隠れするならば、――関わりたくない。

 それがみかどの本音だった。