「……風呂」




「あ、うん!」



俺は独り言を言ったつもりだったのに、乃愛が反応した。



それが少し面白くてふっと笑うときょとんとした顔で俺を見ていた。




まだ働かない頭を搔いて俺は風呂場に向かった。



時雨 乃愛。
俺と同じ16歳。
身長は154cmくらいか。

親同士の仲で、同居する奴があいつだって事は知っていた。会ったのはこれが初めてでもない。



……まあ、乃愛は覚えてないだろうけど。



実際、同居初日の反応がそれを物語っている。



乃愛とは幼稚園が同じで、俺はきっとその時から乃愛が好きなんじゃないかと今になって思う。


この話をくれた乃愛の母親にはすげぇ感謝してる。また会えるとは思ってなかったから…。