「けほっ…」
「村長!ご無事でしたかっ!!」
焼けた家から出てきたじっちゃんは、少し火傷をしているだけで幸い酷い怪我ではなかった。
「じっちゃん!大丈夫か?」
「アル…あぁ、大丈夫じゃ」
じっちゃんは何故か厳しい顔つきをしていた。
「アル、わしらの種族は何だったか知っとるか?」
「ん?確か緑族だよな」
「そうじゃ。…もう時が来た。言わねばならんな」
「なんだよじっちゃん」
体をオレの方へ向けて、真剣な瞳で言う。
「アル。お前は緑族ではないのじゃ」
「えっ?」
それには周りにいた村人が少し悲しい顔をした。
オレは驚くことしかできなかった。
「お前は小さい頃、このスガル島へ流れ着いたのじゃ。わしがお前を見つけ、親のように育ててきた。
お前の両親もわからず、種族もわからないのが現状じゃ」
「マジかよ…」
それ以外何を言っていいかわからなかった。
「ただ、お前にはこれが必要らしい」
じっちゃんの手には、小さな光輝くカケラがあった。
「これはお前が流れ着いた時、握っていたものじゃ。持っておきなさい」
そう言ってオレにカケラを渡した。
「アル。悪く思わんで欲しい。わしも村人たちも、みんなお前を村の1人として見てきた。
ここはお前の故郷なんじゃよ」
「じっちゃん…」
オレは今日、初めて過去のことを聞いた。
じっちゃんはオレの家族ではなかった。
確かに小さい頃両親のことを聞いても教えてくれなかったな。
オレの種族は?
このカケラは何なんだ?
いろんな疑問が浮かんできた。
でもオレは、このスガル島で育った。
オレの故郷には間違いないだろう。
