輝琉には感謝してもしきれない。
今の私がいるのは輝流が傍で、隣で支えてくれたおかげ。
あの時、手を差し伸べてくれたのが貴方で良かった。

ありがとう。
私の傍にいてくれて…

 「いい加減泣き止んでください」

 「泣いてないもん」

 「なら、顔をちゃんと見せてください」

彼は私の頭を撫でながら、小さい子をあやすように言葉をかける。

私は頭を横に振った。
きっと涙でぐちゃぐちゃの汚い顔だ。
そんなの見られたくない…

 「夏華」

余りにも彼が優しく私を呼ぶから、ほんの少しだけ顔を上げる。
その直後だった。

私の目元に彼がキスをしたのだ。

いきなりのことにびっくりしていると、

 「涙、止まりましたね」

彼が私に何もなかったように微笑みかけた。