少し雪が降り積もってきた頃、輝琉の姿が見えた。
走ってきたのか白い息が途切れ途切れ出ていた。

 「夏華!」

彼は私の名前を呼ぶと抱きしめた。

 「こんなに冷えて…何やってるんですか!」

私の頭の雪を払いつつそう言った。

「ごめん」

「 取り敢えず場所移しますよ。僕の家でいいですか?」

コクンと頷けば彼は私をおんぶしてくれた。

 「こっちの方が暖かいでしょ?」

 「うん…」

 「佑斗君に話は出来ましたか?」

 「うん」

ゆっくりと歩くその振動に段々と気持ちが落ち着いていく。
彼の背中で安心できたのかスッと力が抜けていった。