両手を合わせて息を吐きかける。
もう少し着込んでくればよかったと思ってももう遅い。

ふと視線を足元に落とせば、声が聞こえた。

 「久しぶり、夏華。遅くなってごめんな」

そこには佑斗の姿があった。

 「お前、唇真っ青だぞ」

 「久しぶり。大丈夫だよそんなの」

手を急に握られ驚くも、彼はそんなのお構いなしだ。

 「お前、遅れるって連絡したの気づいたなかったのか?返信なかったしさ」

彼に言われて携帯を確認すればメールが1件届いていた。

 「気づかなかった…」

 「こんなに冷えて、家行くぞじゃないと風邪ひくだろ」

 「いいよそんなの。それより話があるから呼び出したんだけど」

 「良くないだろ。いいから行くぞ」

彼は私の腕を引いて歩き出すが抵抗を見せる。