家の前まで送ってもらい、繋いだ手をそっと離した。
温かさが徐々に消えていく感覚が寂しく思えてしまう。

 「バイバイ」

 「また明日」

彼が手を振り背を向ける。
彼が数歩行ったところで私は走り出していた。

 「うわっ!」

彼の腕をぐいっと引っ張る。

 「急にどうしたんですか…夏華?」

聞かれてもわからない。
勝手に身体が動いたのだ。

 「そんな顔しないでください」

私、今どんな顔してるんだろ…

 「泣かないで夏華」

あれ…私泣いてる?

 「ごめっ…」

本当は不安で押しつぶされそうだった。
怖かった。

我慢していた気持ちが溢れて涙と化した。

 「謝らなくでください」

彼は力強く抱きしめて頭を撫でてくれる。

 「大丈夫ですよ」

自分が弱すぎて情けない。