家への帰り道、
輝琉君と手を繋いで歩いた。

 「輝琉君、さっき私のこと呼び捨てだったね」

そんなことを言うと彼の手がピクっと動いた。
彼の顔を見上げると耳まで赤くなっている。

 「いや、あれは…その、気持ちが高まってしまって…すみません!」

 「謝らないでよ、嬉しかったよ。“夏華”って呼んでもらえて」

ドキッとしたのは本当のこと。
佑斗以外の男子に呼ばれたことなんてなかったから。

 「私も”輝琉”って呼んでもいいかな?」

彼は目を大きくして驚いていた。
徐々に顔が赤くなっていくのを見て私の頬まで火照り始めた。

 「無理にとは言わないから嫌だったら言ってね」

 「そんなことないです!嬉しいです…」

 「顔、真っ赤」

 「そんなことないですよ!」

彼の焦りぶりが面白くてクスっと微笑んだ。