彼からのキスで言葉を飲み込んだ。
また涙がすっと頬を伝う。

彼を押し返そうと胸板を思いっきり押した。
彼の唇が離れたと同時に抱きしめられる。

 「そんなの嫌です。僕は夏華さんを手放したくありません」

「ダメだよ。別れようこんなのお互いがボロボロになっちゃうよ」

 「…そうじゃないんです!こんなにイラついてるのは僕自身が原因なんです。僕が承知したのに、佑斗君に嫉妬して、やきもち焼いて情けない」

 「…もう終わりにしよう。私の気持ちは変わらないわ」

初めて打ち明けてくれた気持ちに胸が苦しくなる。
こんな表情をさせてしまうなんて彼女失格だ。

 「僕の気持ちだって変わりません」

彼はほんの少し私と体を離して私の顔を上げさせ、
涙を優しい手つきで拭う彼。