「取り乱しちゃってごめん…」

 「謝らなくてもいいです」

何で優しい声を掛けてくれるの?
何で彼は怒らないの?

 「ねぇ、ちょっと独りにさせてくれない?」

彼の手は私の手を握っていた。
離さぬよう力強く。

もうこれ以上醜い姿なんて見られたくない。

時間が欲しい。
またいつも通り笑えるように…

 「嫌です。離しません」

彼は握っている手に力を込めた。
私はそれを外そうともがくが、やはり男の人の力には敵わない。

私は唇を強く噛み締め俯く。

こんなの輝琉君にも失礼すぎる。
最低だ。
輝琉君を傷つけるだけで私は他に何もできない。