「もう帰りましょうか」 「そうだね」 クレープも食べ終えてからずっと話していたら夕日が沈みかけていた。 風も少し冷たくて、小さいくしゃみをすれば手を握って温めてくれた。 「寒くないですか?」 「平気だよ」 彼の手は本当に温かかった。 繋いだ手に力を籠めれば、ぎゅっと握り返してくれる。 「風邪引かないようにしてくださいね」 「うん。気を付けるね」 彼の気遣いが嬉しくて頬が緩んだ。