私が泣き止むまで彼は隣にいてくれた。
そして今、瀬川君に家まで送ってもらっている。

 「今日はありがとう瀬川君」

 「いえ…あの1ついいですか?」

彼は照れくさそうに頬を掻く。
 
 「どうしたの?」

 「…名前で呼んでもいいですか?僕のことも名前で呼んでもらえませんか?」

 「いいよ」

私は微笑んで承知した。
その瞬間、彼の表情が明るくなるのがわかって微かに頬が赤くなる。

 「本当ですか!?」

 「これからよろしくね…輝琉君」

名前を呼ぶだけなのに恥ずかしくて声が小さくなる。

 「っはい!こちらこそよろしくお願いします。じゃあ、また明日学校で…夏華さん」

彼はそう言っては逃げるように走って行ってしまった。

私はそれが可笑しく思えてクスッと笑った。