彼はそう言うと私の手を引いて立たせる。
私の勢いに負けて彼の胸に収まった。

 「素直になっていいと思います。今は僕しかいませんよ」

私を抱きしめる力が強くなる。

彼に溺れちゃダメなのに、
私は彼を押し返すことができなかった。

 「お願いです。これ以上、自分の首締めないでください」

優しい言葉に溺れそうになる。

彼の手が震えているのがわかった。
彼も緊張しているのだ。

 「宮篠夏華さん、僕の彼女になってください」

彼の声が私に響く。

 「何もかも受け入れるから、僕に守らせて」

まるで甘い罠のように…

 「・・・は、い」

私は、そう応えることしかできなかった。