「宮條さんの心にはまだ谷野君がいることはわかっています。今はそれでもいいです」

彼の言葉が染み込むように心が温かくなっていく。

 「これ以上貴方が傷つかないように、傍にいさせてください」

 「私は…」

 「無理に忘れろ何てことは言いません。僕は宮條さんと一緒にいたいんです」

彼は私に手を差し伸べてそう言った。
私は思わず彼の手を取りそうになったが、彼の手に触れるぎりぎりで止まる。

こんなのいいわけがない。
これじゃあ誰も幸せになんてなれない…
お互い苦しくなるだけだ。

 「宮條さん」

彼が優しく私を呼ぶ。
それだけで心が揺れて罪悪感で押し潰されそうになる。

何も言えなく唇をギュッと?み締めた。