「そんな顔で言わないでください」

そう言うと彼は私の正面に来て、座っている私の目線の高さにしゃがんだ。
何かと思って首をかしげるも、彼は私の頭を優しく撫でる。

 「僕、宮條さんのこと諦めませんから。僕は宮條さんに幸せになって欲しいんです。出来ればその役目を僕が果たしたい…傍にいて支えてあげたいんです」

 「でもっ!」

 「宮篠さんと同じですよ。好きな気持ちに嘘なんてつけません」

彼は私と似ていると思った。
好きな人の幸せを心から願う。

 「…瀬川君は優しすぎるよ」

 「これは優しさなんかじゃなくて我が儘です」

彼はニコッと笑った。