「だから、もう送り迎えも要らないし、部屋に入るのもなし!」

納得がいかないのか彼は難しい顔をしていた。
それでも私は言葉を続ける。

 「彼女さんと喧嘩したら相談に乗ってあげるから。そのときはおいで」

そんなことは決してないと思うけどね…

 「…わかった」

 「うん…あっ!あそこに見えるの三上さんじゃない?」

校門のところに三上さんの姿を見つけて指をさす。

私は彼の後ろに回り込み、背中を思いっきり叩いた。

 「本当だ。じゃあ俺ちょっと行ってくる」

彼は嬉しそうに駆け出して行く。

 「戻ってきちゃダメなんだからね…」

遠ざかる彼の背を見つめた。

もう、隣を歩けない。
手の届く距離にもういないんだ。