怖くても、嫌わててもいいから言えばよかった…
今更そんなこと後悔してもどうにもならない。

手をドアからそっと放すつもりだった。
しかし手が震え、ガタっと音を立ててしまう。

教室から佑斗が出てきてはびっくりしたように目を大きくした。

 「ごめん…聞くつもりはなかったの」

今すぐこの場から逃げたかった。

 「っ良かったじゃん…佑斗。可愛い彼女さんができて。三上さん泣かしちゃダメだよ!」

笑わなくちゃ…!

 「私もう帰るから!佑斗は彼女さん送っていきなよ」

 「…お前補習は?」

 「今日はないよーだ!私だってやればできるんだからな!」

 「…わかった。気を付けて帰れよ」

彼らに手をひらりと振って背を向けた。