クロネコ童話

コーヒー豆に注ぐお湯は、できるだけ細く、ゆっくり、円を描くように。

それに、豆が膨らんだら、一度しぼむのを待たなければいけません。

ヤカンをよいしょと引き上げているクロネコ達は、みんなプルプルと震えています。

「うううっ、重い~!」

「が、がんばれー!」

「持ちこたえるんです~!」

「美味しいコーヒーをぉ……!」

うんうんひいひい唸りながら頑張るクロネコ達ですが、ヤカンはズルズルと下がっていきます。

断続的にお湯を注ぐことができなければ、また豆がしぼみきって、味が落ちてしまいます。

「みなさんっ、がんばって!!」

魔術師クロネコも必死にヤカンのブレを抑えています。

カウンターの下で隠れて見守っていた女教皇と法王も、あわあわした様子。

「ああ、あのままでは……!」

「むむっ、しかし我々とて、力仕事では役に……む!」

その時です。

「っとと、はいはいごめんよぅ」

がし、と一匹のクロネコがロープを掴みました。

そのとたん、ヤカンは一気にベストポジションまで持ち上がり、揺れも格段に少なくなります。