祐介の話を聞いた後、寄り道せずに走って自宅前まできた。息が上がっていたが、それを整えるより先にドアを開ける。



 玄関には綺麗に並べられた咲良の靴。カバンも階段横にある。



 やっぱり咲良がいる。




「咲良……」




 キッチンで物音がする。俺は一直線にキッチンに向かう。




「さく……っ」

「あら、亮。お帰り」




 母さんだった。




「た、だいま」




 噛み噛みだ。時間的に母さんがいるだろうことを忘れていた。



 しかし俺を見た母さんが勢い良く歩いてきて、思い切り頭を殴る。
 背伸びまでして殴ることないだろ。すごく痛いし!