「亮? 本当にどうした?」
「なんでも、ない……」
やっと思い出した。
そうだ、祐介に放課後呼び出されたんだ。で、咲良が好きだと言われたわけで。
そう、大事なことは事故直前で咲良が生きているってことだ。
俺はほっとしたと同時に不安になる。
本当に咲良は事故に遭わないのだろうか。
「亮、あのさ。話、後にしようか?」
「あ。ああ、ごめん。大丈夫」
本当は大丈夫じゃない。
1ヶ月以上も時間が戻ったんだ。
夢を見ているみたいで、不思議で、急に怖くなる。
でも祐介は何も知らない。
そう、祐介は切ない想いをしなくて済む。
俺の願いは祐介も救ったはずだ。
俺の想いを代償に、大切なものを守れるんだ。



