「チューしちゃうぞ!」

「うるさいな。お前、外にいる蝉と同じレベルのうるささだな」

「あ。起きた?」




 仕方なく俺は目を開ける。



 閉め切った薄暗い部屋に、ため息が出るほど元気な咲良の声。




「おはよーございまーす!」

「……うるさい。耳が壊れる」

「壊れるって、亮ちゃんロボットだったの?」

「いちいち突っ込むな」

「えー」

「それに、やめないか?」

「なにを?」

「亮ちゃんって呼ぶの」

「いや!」




 即答かよ。



 俺がゆっくり身体を起こすと、すぐさまカーテンを全開にする。眩しくて思わず目を閉じる。



 やっと慣れてきたところで薄く目を開くと、目の前に制服を突き出す咲良がいた。