何かが崩れる音が聞こえる。
俺はこの期に及んでハッピーエンドを願っていたらしい。馬鹿みたいに、幸せになれるんだと勘違いしていた。
「運命というものには一定の流れがある。決して逆らえないものだ。願いを叶えるということは、それを逆らって生きるということになるでの」
俺の想いなどわかろうともせず、姫巫女は訳の分からないことを話し始める。
「螺旋、とワラワは表現しておる。運命に逆らっても、行き着く場所は同じ。運命という真っ直ぐな道をぐるぐると回りながら傷ついて悩んで苦しんで、それでも同じ方向に進む螺旋」
つまり咲良を甦らせるという願いを叶えたとしても、苦しむことになると言いたいらしい。



