姫巫女は微笑む。
 俺としてはかなり上から目線で馬鹿にされ、全く面白くない。




「さて、どうする? 願いを叶えるのか、叶えないのか」




 姫巫女の冷たい目が俺を見下ろす。
 ブランコになんか座るんじゃなかった。立場が下になるみたいで気分が悪い。



 月明かりに照らされた姫巫女の肌は真っ白で、本当に幽霊みたいだ。人間らしく動くのは瞳だけ。




「本当に咲良が?」

「ワラワは嘘をつかない」




 もし、これが嘘だとしてもやっぱりそうなんだと諦めるだけのこと。



 だったら、やるしかないんじゃないのか?




「悪魔の誘いにのる。願いを叶えて欲しい」




 夢でも現実でもどっちでもいい。



 姫巫女は願いを叶えると言っている。絶対に無理な願いを叶えると。



 だけど、こんな夢みたいなものにすがるなんてどうかしている。俺はこんなにも弱い人間だったのか。
 自分にがっかりだ。