俺は声を出すことを忘れて、ただその美しさに魅了された。
今にも桜が散ってきそうだ。月明かりに照らされた瞳はやはり青くて幻想的。
何がきっかけだったかはわからない。しかし、俺は確実に怖さを忘れて女の子に釘付けだった。
「無礼者! そんなにジロジロ見るでない!!」
まるで時代錯誤だ。不思議な喋り方をする。
「聞いておるのか!」
「聞いてる、けど……」
どう見てもこの世のものとは思えない。異質。
ということは、やはり幽霊なのか。だとしたら、触れられるはずがない。
どうせなら咲良の幽霊に会いたかったかもな、なんて思いながら手を伸ばしてみる。
「無礼者!!」
バチンと音を立て、俺の右手は女の子に叩かれる。
しかし、触れることを確認出来た。女の子は生きている。



