気分が悪いと座り込んだ道端。
 一緒に歩いた通学路。
 いつだったか、地区の祭りをした空き地。
 男みたいに泥だらけになって遊んだ公園。
 勉強に付き合わされた図書館。
 受験前に手を合わせた神社。
 キーホルダーを買わされた雑貨屋。
 学校帰りに奢らされたバーガーショップ。



 咲良との思い出しかなくて嫌になる。
 咲良を思い出さない場所を探そうと、知らない道に足を進める。



 あてもなく歩いて、気がつけば辺りは暗くなっていた。




「……あ」




 ピンク色の真新しい店を発見。すでに午後8時に閉店していたが、小さくて可愛らしいお店は咲良好みだ。




「ここって、もしかして……」




 店の外に貼られたメニュー表は、全部クレープだ。30種類以上はある。