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8月下旬。
まだあの日のことは鮮明に思い出せる。夏休みに入ってすぐに通夜と葬式があって、そこから毎日をぼーっと過ごすようになった。
もうすぐ学校が始まるっていうのに宿題にも手を付けず、テスト勉強なんて出来ない。
理乃ちゃんはもちろん、祐介にも葬式以来会っていない。
会えば咲良のことを思い出して、お互いに気まずくなるってわかっている。
祐介と過ごす2度目の夏休み。
咲良と過ごす何度目かの夏休み。
楽しみにしていた。
「海にでも行って咲良の成長具合、見てやろうと思ってたのに」
心にもないことを俺は呟く。
虚しいだけだってわかっているはずなのに。バカみたいだ。