彼女なりに事実を頑張って受け止めて、お別れをしようと努力してきたことがわかったから。
『あたしから、親友を奪うんじゃねえよ!!』
こんな理乃ちゃんはらしくない。
強気で、文句ばかり言って、クラスで浮くくらい近寄り難い見た目と性格。そんな彼女が泣いている。
『ごめん……』
俺は何て言えばよかったのかわからない。ただ、謝ることしか出来なかったんだ。
『守れなくて、ごめん』
理乃ちゃんに。そして咲良に謝っていた。
誰よりも俺は守ってやりたかったんだ。
守るチャンスも与えられないまま、たった1人の幼なじみを失った。
理乃ちゃんと同じだ。いや、理乃ちゃんだけじゃない。クラスメイトにとって、咲良はムードメーカーだった。
咲良は、たった1人の存在だった。