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通夜の日。
俺はずっと学校に行かなかったものだから、久しぶりにクラスメイトに会った。
みんな情けない顔をして、俺を可哀想な奴だって決めつけている。
しかも遠巻きに見ているだけで話しかけてはこない。正直、腹が立った。
『雨宮!』
でも彼女だけは違った。
怒りを俺にぶつけてくる理乃ちゃんの感情が心地よくて、嬉しいとさえ思っていた。
『ふざけんなよ! 咲良の幼なじみなんだろ!? なんで助けられなかったんだよ!!』
無茶苦茶だ。
幼なじみと救うことを一緒にされるとは思わなかった。
『ふざけんな! 咲良は、咲良は!! たった1人の友達だったのに……っ』
反論しようと口を開きかけて、俺はやめた。
気づいたから。
理乃ちゃんがこの日のために黒髪にしてきたこと。
大事にしているピアスを外していること。
ネイルは乱暴にはがされて、指の回りに残っていること。
せめて先生に嫌われないくらいにしなきゃ駄目だと、咲良が注意していた身だしなみ。