そうだった。そんな会話をしたばかりだった。



 ラブレターでも貰ったら、なんてふざけ合って大笑いして。




「咲良、どこから突っ込めばいいんだよ?」




 俺は気持ちを落ち着けるように、それを見ながら立ち上がる。




「マジックで書いたラブレターなんて聞いたことがない! しかもおにぎりに入れるとか、気づかなかったらどうするつもりだったんだ!」




 俺はそのラブレターから目を逸らす。




「結婚って、まだ付き合ってねーし!」




 またラブレターに目線を戻す。



 文字が歪む。
 目が熱くなる。
 なぜか手が震えていた。




「突っ込む相手……いなくなって、どーするんだよ」




 やっと出てきた涙はとても苦しかった。
 胸が痛い。頭が痛い。苦しくて息が出来ない。