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 まだ、よくわからない。



 咲良はまだ怒っている。だから姿を見せてくれない。教室にも、俺の家にもいない。



 だから、こうして咲良の部屋で俺は待っている。



 そう思いたいだけだっていうのは、よくわかっているつもりだ。でも、そう思わないとおかしくなりそうだったから。



 俺は久しぶりに咲良の家にいる。



 今思えば、咲良はよく家に来ていたのに俺は訪ねて行かなかった。
 恥ずかしいのもあったし、咲良が訪ねてくれるから俺は待っていたんだと思う。