「咲良、か」
咲良とは同じ高校に入学。
都会とも田舎とも言えない中途半端なこの土地から離れることなく、地元の高校に決めた理由はただ1つ。近いから。
はっきり言って俺にはやる気と学力がない。
都会の高校は無理だし、地元を離れて1人暮らしも想像出来ない。
特に目指すものもないから、適当なところに決めただけだ。
そんな俺に無理やり着いてきたのが咲良。
あいつなら都会でもやっていけたはずだが中学の時、俺に指をさして言い張った。
『1人にしたら、絶対に遅刻して退学になる! それだけは阻止しなきゃでしょ!?』
大きなお世話だ。
まるで都会行きを引き止めたみたいで、罪悪感さえ生まれる。



