「亮は、どうなの?」




 裕介のつぶらな瞳が俺を覗き込む。俺はため息をつきながら、

「ない、ないよ!」

 そう言って逃げの体勢に入る。




「ないって……本当に亮はなんとも思ってないのか?」

「だから、聞いてどうするんだよ? 告白しにくくなるだけだろ」

「告白しにくく?」




 ああ、墓穴掘ったよ。言わざるを得ない。
 俺は頭を掻き毟って裕介に向き直る。




「好きだよ、咲良のこと」




 時が止まるかと思った。



 初めて誰かに俺の気持ちを告白したんだ。
 その事実が妙にふわふわしていて、今まで何度も見てきた咲良の笑顔が脳裏をよぎる。



 そのたびにドキドキして、抑えていた感情が溢れ出そうになった。